ITの市場構造は従来型ITから先端ITに変わりこれからの社会では数学が重要な要素になります。
平成31年3月の経済産業省情報技術利用促進課の資料(以下)より、
IT人材の需要と供給に関する調査を見ると
シミュレーションから求めた表4と図については様々な条件が付されています。
その条件の一部を抜粋しています。
定義:
従来型ITシステムの受託開発、保守・運用サービス等に関する市場を従来型IT市場と定義しています。
IoT及びAIを活用したITサービスの市場を先端IT市場と定義しています。
Reスキル率:従来型IT人材から先端IT人材への転換をReスキルと定義し、(x-1)年に従来型IT人材であった人材で、x年に先端IT人材に転換した人材数/(x-1)年の従来型IT人材数をReスキル率と定義しています。
<Reスキル率のパターン>
条件:IT人材の転換が
① 市場の構造変化に対応できる場合 :平均3.8%/年(約2-6%)
② 市場の構造変化にあまり対応できない場合:2%/年
③ 市場の構造変化に対応できない場合 :1%/年
(試算結果)
IT市場の需要の伸びを約2.7%(中位シナリオ)、労働生産性を0.7%とした場合の2030年における従来型IT人材と先端IT人材の需給ギャップは以下のとおりとなる。
図
以上は経済産業省情報技術利用促進課の資料より
表4と図から市場構造が従来型ITから先端ITに変わっていくのがわかります。それとともに、人材の従来型ITから先端ITへの転向はREスキルを求められるようになります。
このREスキルとは経産省が定めている「第四次産業革命スキル習得講座認定制度」の略称です。2019年1月17日 9社(13講座)が認定されています。
内容はデータサイエンスからセキュリティおよび車で必要になる制御システムのモデルベース開発(MBD)など高度な能力が必要とされる分野です。
強いていうなら、まず第一に読解力で次に数学です。解析、線形代数、確率・統計をベースにした機械学習や自然言語処理、画像解析などとともにそれぞれの分野に精通した深い専門知識が求められます。
これだけの知識を習得するには一朝一夕ではままなりません。
私たちは文系理系の区別は不要と思っています。読解力と理論を重んじているからです。
文系の分野でも自然界・経済などで数学を学んでいるはずですが、大学で学んでも卒業する頃には数学の理論などは消えてしまうことです。また、統計をはじめとする数学は、教養課程で学んでもその後計量経済や物理、生物、化学、農学、医学にみられる理論を学んでそれを実践で使うような分野に進まない限り、おろそかにされてきたところに問題があります。
それをカバーする意味で「第四次産業革命スキル習得講座認定制度」の体制ができているのですが、これだけで従来型ITから先端ITに人が転向するには厳しいものがあります。しかしながら、市場構造は否応なしに先端ITへ変わっていくのです。
これからのITでは、読解力と数理系の理論がとても必要になります。
弊社では入社しますと、コンピュータスキルとともに統計の基礎知識や機械学習などを教育研修プログラムに採り入れていますが読解力および数学的基礎知識と論理的思考は学生時代に身につけておいてほしいと思っています。